新たなフェリー航路開設(一般質問)

一般質問

以下は2025年9月定例会で「フェリー航路開設など海上交通の活用」について、私が行った一般質問の要旨です。

経済振興や企業誘致を図る上で、人流・物流の利便性は重要で、企業に選ばれる自治体として欠かすことができない要素です。

残念なことに、佐伯は、大分・熊本・宮崎など、どの空港からも遠く、高速道路も大分市や別府市・福岡県・四国地区・関西地区など、どの消費地からも遠く離れ、地理的に孤立している自治体となっています。言い方は悪いですが、航空交通や陸上交通のへき地と言えます。

ただ、幸いなことに、佐伯には「海」があります。九州と四国を結ぶフェリーなど海上交通は、重要な交通手段の一つです。
観光など交流人口や関係人口の増大、物流の2024年問題の解決手段など、航路にあたる自治体の経済振興において、重要な交通インフラであることは言うまでもありません。

ところが、宿毛・佐伯フェリーは、2018年10月に運航を休止して以降、7年経過した現在まで再開のめどが立っていない状況です。

海上交通をを考える際に、四国サイドの港の位置関係の把握が必要となります。

佐賀関は佐田岬の「三崎港」へ、臼杵「八幡浜港」へ繋がっています、当時佐伯「宿毛港」へと繋がっていました。四国側はご覧の通り、北から三崎・八幡浜・宿毛と並んでいます。

佐伯から「宇和島港」に伸びている線の航路は、後で説明します。現在、航路としてはありません。

八幡浜・佐伯航路

私も知らなかったのですが、臼杵と同様に佐伯から「八幡浜」向けの航路がありました。宿毛向け以外にも重要な航路があった訳です。

海上交通の歴史を調べると、佐伯から八幡浜向けのフェリー航路が、約40年前の1987年に開設され、1996年頃に、9年間の運航が終わっている事実が分かりました。
今から半世紀ほど前の1971年に、宿毛向けフェリーが就航しますが、その3年後の1974年に発行された旧版の佐伯の歴史書である『佐伯市史』の記事には、こう書かれています。

「宿毛と佐伯を結ぶコバルトラインがはじめられ、フェリーボート2隻が、毎日6往復就航している。

ところが、新聞の伝えるところによると、最近、佐伯と八幡浜の間にもフェリー就航の話が持ち上がり、更に宇和島からも申入れがあったという。

なるほど宮崎方面から国道10号線を北上し、四国に渡るには佐伯が一番いい。佐伯はこうした面からでも、将来さらに伸びるであろう。

ところが、期待された、八幡浜・佐伯間のフェリーですが、同一港に向かう臼杵航路と比較され、航路の利便性や所要時間の差に加えて、国道や高速道路網との接続状況が十分でなかったため、利用が低迷して廃路となってしまいます。

宿毛・佐伯航路

宿毛向けの航路の話に移りましょう。

以下の資料は、「車両運搬数や乗降客数の推移」は国交省の統計から、四国向けのフェリーを出している、佐賀関港・臼杵港・佐伯港の3港における運搬車両数と乗降客数の推移をグラフ化したものです。

宿毛フェリーが運休に入った前年の2017年において、年間の車両運搬数は、佐賀関港で約23万台、臼杵港で約21万台に対して、佐伯港は、一桁少ない1万8千台でした。

年間の運転手を除く乗降客数についても、佐賀関港は53万人臼杵港は約15万人に対して、佐伯港は、たったの約3万人でした。当時、宿毛・佐伯フェリーは、他の2港に比較して桁が違う程、弱体化していたのが解かります。
ちなみに、当時、佐賀関からは往復17便、臼杵からは往復14便、佐伯からは往復3便と、便数にも大きな開きが生じていました。

上記の様な状況であったため、宿毛向け航路も、残念なことに2017年より航路休止となっています。
当時、原油価格が上昇傾向にあってコストの問題が顕在化したことが、休止に影響していると言われていました。

加えて、上記の様に競合する航路の存在などが重なり、宿毛港・八幡浜港・三崎港を結ぶ物流の規模の差が生じ、結果として輸送量や利用者数が減少し採算の確保が難しかったことも、休止の要因と言えるかもしれません。

フェリー航路の維持には、地理的な関係や、整備されているインフラ、経済的な市場性・合理性が重要です。
一方で直接的なフェリーの話題から離れますが、「今後の人流・物流の動向」、つまり運送需要も当然のこととして重要です。

熊本で昨年末に、台湾の大企業であるTSMCの第一工場が操業を開始しました。
この影響によるフェリー需要の増加に加えて、トラック運転手の働き過ぎに関係する2024年問題のために、フェリーによる九州・四国・関西間の人流・物流の増加が予想されます。

熊本県の大津から竹田への高規格道路が開通した場合には、さらなる需要増加が見込まれ、これら影響から、臼杵航路の需要の増加も予想されるでしょう。

今後の人流・物流の需要増加を考えた場合、佐伯発のフェリー開設のチャンスが生まれると思われます。

冒頭に触れました「宇和島・佐伯間の新たなフェリー航路」の話題に移りましょう。

九州における人流・物流量の増大を背景として、新しい航路を考える場合、大消費地とのアクセスや、佐伯市やその周辺市の経済力の比較などが非常に重要となります。

そこで、一つのケースとして宇和島向けの新たなフェリー航路の可能性を考えました。宇和島は、八幡浜と宿毛の間にありますが、八幡浜寄りに位置しています。

以下の表は、宇和島・佐伯フェリーの市場性の分析を、八幡浜・臼杵フェリーと比較した資料になっています。

まずは、両航路の海上距離ですが、佐伯・宇和島間の場合約69㎞、臼杵・八幡浜の場合68㎞です。宇和島港に入る際に、入口近くにある島を迂回する関係で、佐伯の方が、少し距離が長くなると思われます。
ただ、八幡浜・臼杵間との差が、1㎞ばかりと遜色ない距離であると言えます。ちなみに、宿毛・佐伯間は78㎞と、臼杵に比較して10㎞も長い距離でした。

一方で、「延岡」から、「佐伯港」、もしくは「臼杵港」を経由して、愛媛県の交通の要衝である「大洲」まで、つまり延岡から大洲まで陸送部分の距離はご覧の通り、103㎞と同じです。
ところが、所要時間については、佐伯航路の宇和島と大洲間が高速道路となっている関係で、佐伯航路の方に分があります。

また、人口や経済力は、佐伯市や宇和島市は、臼杵市や八幡浜市と比較して、資料の様に約2倍の規模となっています。佐伯は地域のポテンシャルである人流や物流のニーズがより大きいと言えます。

データを踏まえて、宇和島向けのフェリー開設の経済合理性・市場性があると考えます。佐伯市の考えも経済振興の観点からは同様の見方でした。

国交省は、今年3月に「葛(かずら)港周辺」を、賑わい拠点となる「みなとオアシスさいき」として登録しました。
「みなとオアシス」では、周遊観光やイベント開催を促進することで、地域住民の交流促進や、地域の魅力向上につながることが期待されます。

葛港に賑わいを取り戻す「みなとオアシス」として登録されましたが、フェリー乗り場は、7年間、利用されないまま、放置されています。
日常的に人流・物流を促す「コア事業」は必須です。そのコア事業には、フェリー運航が最有力候補の一つであることは言うまでもありません。

また、外部環境面でも、物流の2024年問題や、熊本のTSMCなどにより、九州全土の人流・物流が増加するチャンスを迎えています。

今回は経済合理性の面から採算性の高いと思われる、宇和島・佐伯フェリーの新設を取り上げました。
他にも、少し触れました様に、関東圏と九州圏を結ぶ、「横須賀・新門司」フェリーの寄港地としての案など様々考えられます。
この点について、市長に見解を求めました。市長からは、

市としましては、港の活性化につながる海上交通の在り方について幅広く検証し、新たな航路の可能性についても、市民の皆様のご意見を伺いながら取り組んで行く考えです。

とありました。

佐伯市は、いくつかの工場用地を用意して製造業の企業誘致を続けています。佐伯市の、物流面の利便性だけを考えた場合には、繰り返しとなりますが、改善の余地があり、決して高いとは言えません。
もちろん、諦めずに、経済波及効果の高い事業者向けに、継続的な誘致活動は必須と考えます。

同時並行として、海上交通の利用により、積極的に物流の改善へ取り組んで、選ばれる佐伯市とし、進出したと思う企業を増やしてほしいと念願します。人流・物流の変革期です。目の前の絶好のチャンスを逃さないように、スピード感を持った対応が望まれます。