街に活力を生む創業支援

一般質問

以下は2025年12月定例会で「街に活力を生む創業支援」について、私が行った一般質問の要旨です。

佐伯市は、他の市町村と同様に、過去から「創業支援等事業計画」に基づき、「起業」支援、言い換えると「創業」支援をしてきています。

残念なことに、以前「事業承継」に関わる質問でも取り上げましたが、2021年度の経済センサスによると、2016年から2021年の5年間に、廃業や倒産等で、佐伯市において年平均43者の事業者が減少しています。

一方で、市内の経済団体へ私がヒアリングしたところによると、2019年から2024年の5年間に年平均30者の創業が行われています。

統計年度の相違はありますが、43者の減少を留めるためには、創業数30者へ、更に43者を上乗せした73者、単純に丸めると年間に、現在の倍以上の約80者以上の創業、もしくは事業承継が必要となると言えます。

佐伯市を含め、県内他の市町村は、それぞれの「創業支援等事業計画」に基づき創業支援を行っています。

佐伯市の創業支援策

佐伯市の創業補助金の上限額は30万円です。県内他の市町村では、50万円や1百万円といったところも多くあり、佐伯市の30万円は見劣りしています。一方で、3年の間の借入金利子補給により実質利息が免除される制度を行ってる市町村は少なく、かなり有利な制度と言えます。

このように、佐伯市の創業支援は一長一短ありますが、その施策の主なものは以下です。

出張相談会月に1回、市役所にて「大分県よろず支援拠点」により創業相談の受付。他の市町村でも同様。
創業セミナー新たに創業を目指す方や創業後1年以内の方を対象に、年2回開催。「大分県よろず拠点」や「おおいたスタートアップセンター」などから講師を招き、経営・財務・商品開発・人材育成・資金計画作成・事業計画作成などの専門知識を4回の講座で構成。この内容も一般的。
創業等支援事業補助金創業セミナーまたは商工会議所・商工会の経営指導員による指導や相談・専門家派遣事業等を前提に、事業所開設費用、販売促進経費、法人登記等の経費について、補助対象経費の1/2、30万円を上限に支給。
融資制度資金使途を運転資金や設備資金を市内取扱金融機関を通して、創業支援振興資金融資(上限10百万円)と女性創業者支援振興資金融資(上限5百万円、創業支援振興資金融資との併用可能)の2つがある。融資を受ける際に必要となる信用保証料全額と3年間の支払利息についての補助もある。
チャレンジショップ起業家を支援するためのチャレンジショップがある。創業・開業を目指す起業家に対し、低廉な家賃で実際に経営を経験してもらい、ノウハウを修得したのちに本開業へと繋げていく取組。この事例も多い。

佐伯市の創業支援策は上記の通りです。他の県内市町村の施策と比較して、改善の余地もあるため、主に以下の様な問題を指摘しました。

  • 佐伯市の創業セミナーは、理論的で少し実戦的な内容に欠けるところがある。創業者の実体験を話してもらうなど、受講者が興味を持ち、企業マインドが膨らむ内容も必要。
  • 借入に係る借入金利子補給有利な制度だけれど、制度認知が進んでいない。ついては、市のHPやチラシの作成・配布などでの広報の強化が必要。

創業相談窓口

創業関連に対する相談窓口としては、市役所の観光ブランド推進部商工振興課の他に、佐伯商工会議所佐伯市番匠商工会佐伯市あまべ商工会などがあります。
創業を考えている人が、商工会議所や商工会などの経済団体へ相談に行くことは、もちろん多いと思われます。ただし、商工会議所や商工会は会員に対するサービスであると思っている人も多くいます。

市役所における創業相談窓口は、第一次産業については農林水産部で、それ以外は観光ブランド推進部にある商工振興課が担当しています。
ところが、商売を始めよう、もしくは始めている市民が一見して、「観光ブランド推進部」に商工担当部があるとは思えません。県内他市の状況はご参考ですが以下です。

また、「観光まちづくり佐伯」社に「まちなか開業サポートセンター」があります。ただし、このセンターでは主にクラウドファンディングの制度の紹介業務をだけ行っており、マーケティングや事業計画の作成など創業の中心的なテーマの支援を行っていません

観光ブランド推進部における商工と観光の扱いについての話題を取り上げたいと思います。一般的に、観光イベントはスポット的・直接的な経済効果であり、対して創業は、ストック的で持続的な経済効果を生むと考えられます。

佐伯市にとって観光振興は主要なテーマであることは間違いありません。ただ、観光ブランド推進部の職員36名の内、商工振興課は9名です。また、その中で、商工係は5名しかいません。 
観光・国際交流課19名とブランド推進課7名の26名となっており、観光関連は商工振興課の3倍となっています。

そこで、上記を踏まえて、以下の課題を指摘をさせてもらいました。

  • 「観光ブランド推進部」の名前に、「商工」の名称を加えて、創業者が相談先に迷わない工夫が必要。
  • そもそも、創業者にとって「まちなか開業サポートセンタ」ーとの名称は紛らわしいので、創業支援の窓口を市役所の商工振興課へ一本化すべき。
  • 商工係の人員があまりにも少なく、同様に創業関連予算もかなり少ないので、改善の余地あり。
  • 細かいが、市のHPの創業支援ページには窓口である商工振興課の表示がない点や、毎月よろず支援拠点が創業など佐伯市で出張相談をしているが、市報の「無料相談のご案内」での紹介がない点なども改善が望まれる。

スタートアップに対する創業支援

スタートアップとは、革新的な技術やビジネスモデルを強みに、短期間での急成長を目指すビジネスのことで、今現在、事業を営んでいる産業・業種の枠外といったイメージです。

例えば、先日のNHKで紹介されていた、別府市に本社を置き、「忘れ物国際配送サービス」を手掛ける「Lost Item Delivery社」などはそのスタートアップの典型と言えます。

別府市にはスタートアップ発掘イベントである「ONE BEPPU DREAM AWARD」があります。「忘れ物国際配送サービス」を手掛ける会社は、この賞のファイナリストです。

別府のアワードは8年ほど前から始まりますが、最近は毎年実施されています。別府の特徴は、有力企業がサポーター等となり、アイデアを実現に向けて、ファイナリストを伴走支援する点です。ファイナリスト約10者を、毎年伴走支援する制度なのです。

2024年までで、50者ほどのファイナリストの内、40者が既に起業しており、10者も起業待ちなどだそうです。今日明日、一朝一夕に、別府の様なアワードを作ることは難しいと思います。

この賞は佐伯にはない意欲的な取組みですが、私は、将来的に、佐伯の強みである漁業、水産業や林業に特化したアイデア募集のアワードを作って、全国から起業家を募集するも面白いと思っています。

ビジョン、及び新たな施策

創業マインドを持っている人は、何もしなくても起業して、素晴らしいビジネス展開ができるかもしれません。
ただ、それを待つだけでは、なかなか事業者の減少を食い止めるだけの創業者の増加を促すことが難しいことは明白です。このままでは、事業者や就業人口の減少から市の財源不足を生み、福祉政策もままならない状況へ陥るかもしれません。
創業を支援することは、地域の産業振興に繋がり、街に活気が生まれ、移住者も増加する取組みです。

明日からでもできますが、創業融資の利子補給制度の適切な広報や、起業マインドを醸成する創業セミナーに加えて、過去からも何度も議論となっている、分かりやすい庁内組織、気軽に来れる創業相談窓口のワンストップ化を行ってみてはどうでしょうか。
また、有効な創業支援施策と併行して、創業支援を行う人材、必要にして十分な予算の確保が、必須なことは周知の事実であり、県内の他自治体でも先行する事例に事欠きません。

これは将来的な施策になりますが、地域資源である漁業・水産業・林業などに特化したスタート・アップ・アワードの創設、といった施策の整備が待たれます。

創業は、雇用機会の創造であり、これにより親世代の生活の安定へ、ひいては市長の「こどもがまんなか」の施策へ支出する予算確保に繋がることは疑う余地がありません。
現在、作成中の予算への反映が難しいようであれば、来期予備費を使った施策を行うことを含めて、「創業支援」の充実は待った無しです。